主の祈りについて

 


「主の祈りについて」

マタイ6.715

皆さん、今日の福音は「主の祈り」についてですが、一つの物語を通して皆さんと分かち合いたいと思います。この物語は皆さんもご存じだと思いますが、第二次大戦中、青山学院大学のある教授が、戦争批判の平和的発言を繰り返したことから、検挙され、投獄されました。彼は暗くて冷え切った独房に入れられました。虚しさと不安、そして空腹の中にありましたが、教会で覚えた「主の祈り」を唱えることによって、全ての苦しみを耐えることが出来たそうです。彼は無意識に「主の祈り」が唇から涙と共にこぼれてきたと語っていました。この物語からも、「主の祈り」は私達を最後まで支えてくださるということを、学ぶことが出来ると思います。

「主の祈り」は、イエス様が弟子たちに教えられた祈りです。この祈りの中に含まれる内容は、とても短いですが、完全なものです。祈りは人間側のものであって、祈りは鍛錬によって築き上げられるものです。ただ単に私たちが暗唱して神に繰り返すという祈りではありません。これは、私たちがどう祈るべきかの模範なのです。主の祈りのことばを理解しながら祈りましょう。祈りにおいて、神は、私達が特別な言葉を使うよりも、神と交わり、心から神に話すことを望まれておられると思います。

「主の祈り」の中に含まれる内容は、「山上の説教」の中にも述べられています。どうぞ、改めて、敵を愛すること,報い,裁きについての具体的なイエス様の教えを確認してください。困難にある時、感謝をしたいとき、苦しみや悲しみの中にある時、喜びにあふれている時、様々な時に「主の祈り」を唱えるようにイエス様は私達を導いておられます。

ところで、この2年間コロナや戦争、飢餓や温暖化の影響で沢山の人々が涙を流しました。その涙を集めたら、絶望の海(うみ)が出来たかもしれません。その絶望の海で今この時も人々が命を失っていることを想像して頂きたいと思います。どうぞ皆さん、憐れみや、慰めを求める多くの人々に思いを寄せてください。聖霊で満たされているこの教会で、ご一緒に心を合わせて世界平和のために祈り、心から「主の祈り」を唱えていただきたいと思います。

 

主の平和

 

(カトリック吉祥寺教会、2022616日)

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