あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい

 


「あなた方が彼らに食べ物を与えなさい」

ルカ9.11b-17

皆さん、今日はキリストの聖体の祭日です。聖体というと最後の晩さんの記念である聖木曜日を思い起こします。聖体拝領はイエス・キリストが私達を養う食べ物になってくださったという、大変不思議な神秘ですが、ご聖体は弟子たちによって配られ、神の恵みを全ての人と分かち合いました。今日の福音の内容を黙想しながら、聖木曜日と比較しながら、その意義を考えてみましょう。

今日の福音書はイエス様がパンと魚を増やして人々に与えた、という奇跡の出来事についてです。イエス様が「パンを取り、賛美の祈りを唱えて裂いて弟子たちに渡した」というところは最後の晩さんでの場面と同じです。違っているのは弟子たちに配らせたということと、パンの残りが十二の籠にいっぱいになったということです。

最後の晩さんでは、「これはわたしの体である」「わたしの血である」と言ってパンとぶどう酒を弟子たちに分け与えることで、弟子たちはイエス様と一致する恵みをいただきました。私達もご聖体をいただくことによってイエス様が私達の内に来られることを体験することができます。綺麗な心、純真な心を持ってこそ、ご聖体の秘跡の恵みをいただくことができるのだと思います。

今日の奇跡のお話では、大勢の人々がお腹をすかせていました。イエス様が弟子達に「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」と仰って、弟子たちにパンを配らせました。イエス様は弟子たちに、命のパンを託され、イエス様のことばを伝える=福音宣教者としての使命をお与えになったのではないでしょうか。イエス様は、弟子たちに、昼も夜も、絶えず叫び求める民に答えるために、相手のもとに出向いて一緒に悲しみや苦しみを、分かち合って生きるようにうながしたのです。

皆さん、聖体の秘跡は神との一致を表わします。しかし、自分達だけが満たされて、それで終わりということではありません。飢餓でお腹をすかしている人々、愛に飢えている人々、寝るところを毎日探している人、たくさんの人々がそれぞれのパンを待っています。それが現実です。

イエス様からパンを配る使命を、弟子たちが与えられたように弟子たちのように、私達にも使命があるはずです。この厳しい現実の中で、パンや魚は人にあげるとなくなります。しかし、人にあげてもなくならないものがあります。それが愛です。愛は神様からいただくもの、福音は愛のみことばです。分かち合うことによって、神の愛はどんどん増えていきます。人々と愛を分かち合うことは、霊的な成長を促すだけではありません。神様の愛と救いの中で私達は信仰を強め、神様と一つになる瞬間は最高の癒しです。ぜひ皆さんも、このパンの恵みを感じていただきたいと思います。

ところで、最近では、ずいぶんコロナの感染者は減ってきましたが、世界各地の戦争や飢餓の問題は増え続けています。私達もようやくコロナを乗り越えて、少しづつ自由な生活を取り戻しつつありますが、世界では一億人以上の難民が、涙を流しながらパンを待っています。その人達のために、私達は祈り続けます。そして神様を信じて、希望の光が1人でも多くの人に注がれますように、ひとかけらのパンが彼らに届きますように祈りましょう。

 

主の平和

カトリック吉祥寺教会、2022619

 

アンディ神父

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